Collageで描く抽象の世界

アクリルと油彩により、イメージの現出を抑えつつ、現代の心象を描いている。
幻想的風景の中に人間の形姿がうめられて、色彩は少々刺激的なピンクなどを多用している。
意欲的なのは「記憶の箱」。三幅画の形式を取っており<箱>にある種の閉鎖的な世界を予兆させる。
また、商品にすぐれた色感処理が散見できた。版画の技法を取り入れつつ、自然(大地)の光景が微妙なニュアンスと、空気の揺れを表現していた。

月は見ていた

また秋が来て、思案の日々に風が()き、コラージュされていく。
哀れよ哀しきの繰り返し、切ない輪廻の墓標、記憶の箱は揺れ動き、落日に頭を垂れる。
朽ち果ててはいけない。
やがてめぐる円が重なり、生きよ、美と静寂を求めて舞い飛べ、無伴奏の組曲を背に。

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